この動画では、
愛知県にある
従業員わずか18人の小さな町工場が、
180億円という
巨額の買収・技術提供提案を断り、
職人の神業と受け継がれた歴史で
世界の航空機産業を支える
感動的なドキュメンタリー調の
エピソードが紹介されています。
180億円の提案と拒絶
登場人物
愛知県の名古屋郊外にある
特殊鋳造砂メーカー
*「株式会社カトウ特殊鋳造砂」
の2代目社長・加藤誠一と、
台湾の大手鋳造メーカーの調達部長
リン・ジェンウェイ。
*注:会社のHPは見つかりませんでした。
やり取り
2023年夏、
台湾のリン部長は、
最先端の半導体や
航空機産業に必要な
「絶対に崩れない特殊な鋳造砂」
の配合レシピ(技術)を
180億円で買い取りたいと
4時間に及ぶ熱い交渉を持ちかけました。
断れば独自開発して
市場を奪うとまで迫りましたが、
加藤社長は流れる砂を手に取りながら
「うちの砂は売れません。
その(職人の)感覚は
180億円では買えない」
と静かに拒絶しました。
「崩れない砂」を支える18人の町工場の正体
1953年創業の
この工場が手がける砂は、
航空機エンジンのタービンケースや
自動車のエンジンブロック、
半導体製造装置の精密フレームなどの
型(砂型)に使われます。
通常の砂は
高温高圧の金属を流し込むと
崩れることがありますが、
この工場の砂は絶対に崩れないため、
製品に欠陥が生じません。
特定分野での世界シェアは24%に達し、
世界中の航空機エンジンケースの約1/4は
この18人の工場が作った砂型から生まれています。
神業を支える3つの秘密と「触感」
ベテラン職人の鈴木義則(41年目)が明かす、
他国が真似できない強みは以下の3つです。
1. 愛知の天然砂
70年間仕入れ続けている
愛知周辺の特定の産地から得られる
砂の最適な粒度。
(粒の大きさのバランス)
2. 70年分の「配合台帳」
創業者の父・義雄の時代から積み重ねられた、
温度・湿度・ロットごとの
膨大な失敗と発見の手書きデータ。
3. 職人の「触感」
混練(こねる)された砂を手で握り、
そっと崩したときの絶妙な手触り。
こればかりは
40年以上砂に触れ続けた人間の手にしか分からず、
レシピだけ渡しても
再現できない最大の理由です。
技術の継承
動画内では、
30代の若手職人・中村大輔が
11年の修業を経て、
鈴木から
「今日の配合を1人で決めてみろ」と促され、
手触りだけで
「結合剤を0.05%増やします」と正解を導き出し、
技術の魂が受け継がれる
感動的な瞬間も描かれています。
覚悟が生んだ世界記録
180億円を断った
加藤社長の覚悟が
世界の精密鋳造業界に知れ渡ると、
ドイツの研究所(ハンス・ミュラー氏)や
アメリカの航空機メーカーから、
メールや「ファックス」で
「彼らの誇りを支援したい」
と大口発注や
長期契約の申し出が殺到し、
受注額は前年比200%に急増。
さらに、
業界の常識(1500℃が限界)を超える
「1700℃の超高温に耐える砂型」
の開発要請が届きます。
不可能な挑戦に見えましたが、
70年分の
「配合大帳」をひっくり返したところ、
50年前に父・義雄が
ノートに書き残していた
耐熱性向上のための仮説を発見。
これをもとに職人の触感を融合させ、
見事世界初となる
1700℃対応の特殊砂を完成させました。
世界が愛知に頭を下げに来た結末
「砂(モノ)を渡すだけでは
本当の性能は出ない。
愛知の砂、歴史、職人の手触りが
セットでなければ意味がない」
という
加藤社長の言葉に応じ、
世界中のメーカーがこぞって
愛知の工場を訪れるようになります。
1年前に180億円を断られた
台湾のリン部長も、
今度は買収ではなく
「顧客」として頭を下げに
再来日。
「断られたことで、
レシピだけでは手に入らない
本物の価値(歴史と職人の手触り)を理解できた」
と感謝を伝え、
良好な取引関係が結ばれました。
日本の町工場が持つ
「おカネでは買えない職人の誇り」と、
時代を超えてつながる
親子の技術のバトンが世界を動かした、
非常に胸が熱くなるお話です。