- 2025/01/02
福島県の小さな町で実際に起きた、
地方創生や税制の仕組みを悪用した
巨額の公金搾取事件を描いた
ノンフィクション
『過疎ビジネス』
(横山勲 著)
の漫画要約動画です。
人口わずか8000人ほどの町が、
なぜ相場の2倍もの価格で
必要のない高級救急車を
大量に購入することになったのか、
その驚きの手口と
構造的な問題が解説されています。
1. 全ての発端:4.3億円の高級救急車リース事業
2021年、
福島県国見町(くにみまち)で、
総額約4.3億円をかけた
「高規格救急車12台(新車・中古含む)のリース事業」
が計画されました。
異常な価格
新車の救急車1台に
約3600万円
(相場である約1700万円の2倍以上)
というぼったくり価格が設定されていました。
不要な設備
国見町には
独自の消防署がなく、
隣接する市と
合同の広域消防を利用していたため、
そもそも町が
自前の救急車を所有する必要性は皆無でした。
そのため、
「他自治体に貸し出して稼ぐ」
という無理のある名目で進められました。
2. コンサル企業と大手ITの「マッチポンプ」のからくり
この事業の資金源は、
町の税金ではなく、
大手IT企業
「DMMグループ」からの
4.3億円の匿名寄付でした。
ここに
「企業版ふるさと納税」を悪用した
巧妙なスキームが隠されていました。
企業版ふるさと納税の悪用
企業が地方自治体に寄付をすると
最大9割の税額控除が受けられます。
通常なら企業側が1割損をしますが、
裏に別のからくりがありました。
還流(キックバック)の構造
DMMの寄付金(4.3億円)を原資として、
国見町は救急車リース事業を発注。
その事業を請け負ったのが、
裏で繋がっていたコンサル企業
「ワンテーブル」(One Table)
でした。
さらに、
救急車を実際に製造したのは
DMMの子会社「ベルリング」でした。
結果
DMMグループが町に寄付したお金が、
事業発注という形で
ほぼそのまま身内のグループ
(子会社・コンサル)へと還流し、
さらにDMM自体は
巨額の税金免除(約3.87億円分)を受けるという、
公金を使った完璧な
「マッチポンプ」(自作自演)
が成立していました。
3. なぜ過疎地の役場は見抜けなかったのか?
マンパワーの圧倒的不足
人口減少が進む地方自治体では、
役場の職員が日々の通常業務に追われ、
国が求める
「地方創生事業」
をゼロから企画する
専門知識も時間もありません。
丸投げの罠
そこに
「企画も資金調達(寄付集め)も全て弊社がやります」
とやり手のコンサルが入り込み、
最先端の
「災害対応システム」
といった綺麗な言葉を並べられると、
役場や議会は中身を精査できずに
ハンコを押して(丸投げして)しまいました。
4. 「ザコでも生きてますから」地方議会の逆襲
この不自然な事業に対し、
地元の新聞記者(著者)の
スクープをきっかけに
町の住民や
一部の町議会議員が立ち上がりました。
100条委員会の設置
議会に強い調査権を持つ
「100条委員会」が設置され、
コンサルや町幹部を徹底的に追及。
最終的に
この不当な事業を差し止め、
利権構造を白日の下に晒すことに成功しました。
象徴的な一言
調査を終えた議員が放った
「ザコでも生きてますから」
(見下されていた田舎の小さな存在でも…)
という言葉は、
コンサルに舐められていた地方が
自力で民主主義を取り戻した
象徴として描かれています。
5. 全国に広がる「コンサルが国を滅ぼす」危機
この事件は国見町だけの特異な例ではありません。
件のコンサル企業は
北海道の複数の町など
全国の過疎地をターゲットに
同様の横展開を狙っていました。
自治体の7割が丸投げ
現在、
日本の自治体の約7割以上が、
地方創生計画の策定を
外部コンサルに
丸投げ委託しているというデータがあります。
国が「地方を救うため」に作った予算や
ふるさと納税の仕組みが、
地方の弱みにつけ込む
都市部のコンサルに
合法的に吸い上げられているのが現状です。
結論
この動画(書籍)が鳴らす警鐘は、
「民主主義の最大の敵は無関心である」
ということです。
「誰かがうまくやってくれるだろう」
と住民が行政や税金の使い道に
無関心になった隙に、
巧妙なビジネスが入り込み、
街の財産が乗っ取られてしまいます。
ドロ臭くても、
自分たちの頭で考え、
議論し、
決定していくというプロセスこそが、
過疎ビジネスから
地方を守る唯一の盾であると
締めくくられています。